地球の70%が海であるというのは、誰もが知っている常識です。
では、人類は海をどこまで解明しているのか?
大体深度200m位までと言われていて、これは全海洋の僅か2%程度です。
まぁ、探査するには余りに広すぎるって事です。
しかし、地球の70%が海なのに、世界に同じ海は何処にもありません。
水温や海流が違い、水温が違えばプランクトンの種類や量も違い、それらが違えば、海の見た目の濃淡も変わります。
必然的に魚の種類や量も変わり、漁獲量も変わります。
日本近海の海に似ている海は、イタリアの海が最も近いと思います。
まず、日本とイタリアの国に共通しているのは、長いリアス式海岸になっているという事です。
そして、イタリアの近海にはシチリア島、サルデーニャ島、コルシカ島が在り、イタリア本土との距離も近い為、複雑な海流が生まれ、美味しい魚が捕れるのです。
因みに、アメリカの国土面積は日本の25倍ですが、日本のリアス式海岸線の総延長は、アメリカの総海岸線の長さの約1.5倍と言われています。
それだけ、入り組んだ海岸線が多く、しかも周囲100m以上ある島は7千島弱もあるのです。
それだけ日本近海の海流が複雑であるという事です。
周囲を海に囲まれた日本の南方から黒潮が北上し、日本列島南岸に沿って進む本流と、日本列島の北岸を進む津島海流に分かれ、多くの回遊魚がこの流れに沿って日本列島近海を北上していく。
北からは千島列島に沿って南下し、日本列島東岸まで達する親潮(千島海流とも言う)があり、この親潮はプランクトンが豊富で黒潮の流れに乗ってきた魚の餌になる。
この黒潮と親潮が日本列島の東岸でぶつかり、北太平洋ドリフトとなり、東に流れて行く。
黒潮と親潮がぶつかり合うと、親潮は黒潮よりも密度が高いので黒潮の下に沈みこんでいき、黒潮と親潮の潮目は、世界で最も豊饒な猟場になるのです。
そして、日本列島は海と山が近く、日本列島全土に毛細血管の様な河川が海に注いでいる。
南北3千キロに及ぶ日本列島は、北部は亜寒帯、南部は亜熱帯気候に属している。
世界で最も複雑で繊細な日本の食文化は、緻密で複雑な地理的要素の上に成り立っているのです。
日本近海の海の説明をほんの少ししただけですが、大いなる自然の力に感動と畏敬の念を感じずにはいられません。
全海洋を理解するには、人間の存在は余りに小さく無力に感じると同時に、今一度自然に対し、謙虚さを忘れてはいけないと思います。