陶器と磁器の総称を陶磁器と言いますが、もう一つ炻器という焼き物もあります。
炻器とは、簡単に言えば、陶器と磁器の中間に位置する焼き物で、陶器でも磁器でもない焼き締めとも言われています。
炻器の代表的な焼き物には、須恵器、備前焼、信楽焼、常滑焼、丹波焼きなどがあります。
陶器を作る為の陶土は、土を水に溶かし沈殿した土を乾燥、再度水に溶かし乾燥を4~5回繰り返し、蔵で1~3年程寝かせてから使います。
土を寝かせる事により、土中のバクテリアが繁殖し土に粘りや腰が生まれ、成形し易くなるからです。
磁器を作る為の磁土は、石なら何でも良い訳ではなく、カオリンと言う白色の鉱石を砕き粉末状にして陶土と同じような工程を繰り返し、やはり数年間寝かせます。
磁土を寝かせる理由も陶土と同じで、寝かせる事によりバクテリアが磁土に可塑性を与えるからです。
何故、磁器はカオリンを使うかと言うと、カオリンは1300℃以上の高温にも耐えられるからです。
こんなに高温になれば、通常の鉱石では窯に入れて焼くと割れてしまうからです。
陶磁器を窯で焼く時の温度は、土器は1000℃以下で焼かれ、陶器は、1200℃、炻器は1100~1250℃、磁器は1350℃以上の温度で焼かれると言われています。
一般的に有名な清水焼は当初は陶器でしたが、19世紀頃から磁器になりました、理由は京都周辺ではカオリンが無いからです。
磁器を世界で初めて焼いたのは中国で、青磁器を今の様に青く発色させる迄に約1000年かかっていて、流石中国は凄いと感嘆させられます。
中国では、翡翠を身に着けると七つの徳が得られると言われていて、翡翠を人工的に作りたいという悲願で生まれた焼き物が青磁器なのです。
美術館などに行くと、茶色い色なのに青磁器と書かれている作品がありますが、それは窯の温度や釉薬の調合が上手く出来ず、青色に発色しなかった生焼けの青磁器なのです。青く発色した青磁器を焼く為の大切な途中工程であり、失敗ではなく、遥か未来に思いを馳せた逸品なのです。
陶磁器も日本庭園と同様、とてもこんな短いブログでは語りつくせない程深く、陶磁器を学ぶには中国の歴史は絶対に欠かせないし、世界史や地質学も学ばなければ、概要すら理解できない、とんでもない領域なのです。
しかし、それだけに、魅了されたら延々と学び、知れば知るほど面白い世界なんです。