No.15 京友禅と加賀友禅

日本を代表する染め物に、友禅染と言われる染め物があります。

友禅染で有名な物は、京友禅や加賀友禅ですが、その他にも東京友禅や新潟の十日町友禅などがあります。

京友禅の特徴は、1枚の作品を仕上げる為に何人もの職人が分業して作成しているという事です。

墨で構図を描き、糊で色をせき止めし、筆で色を押し、その後刺繍や箔などで文様を仕上げるなど、幾つかの工程をそれぞれ専門の職人が手掛け仕上げているので、京友禅には落款(らっかん)が無い事が殆どです。

加賀友禅は、はっきりとした色彩で、草花や鳥など自然文様が多いのが特徴とされています。

九谷焼でも有名な加賀では、加賀御国染(かがおくにそめ)と呼ばれる染色法が古くから伝えられていました。

江戸中期に宮崎友禅斎が、京都から加賀に友禅染の技法を伝え、加賀独自の染色技法も取り入れて加賀友禅が出来たと伝えられています。

加賀友禅では制作過程の殆どを一人で行うので、落款が押されている物が多くみられます。

加賀友禅は色を挿す時には、外側から中心に向かって色をぼかし、京友禅は中心から外に向かってぼかすので濃淡に違いがあります。

加賀友禅は奥行きを表現する為、白い輪郭部分が太めに描かれていたり、自然の移ろいを写実的に描く処も加賀友禅の特徴です。

今では大量生産に対応する為、手描きではなく型紙で友禅模様を写し染めた物を型友禅(かたゆうぜん)と呼び、手描きの友禅染は手描き友禅(てがきゆうぜん)と区別されていて、手描き友禅の中には、豆描き友禅(まめがきゆうぜん)、無線友禅(むせんゆうぜん)など、糸目を使わない物など数種類の友禅があります。

一概には言えませんが、京都から伝わった友禅染ですが、加賀友禅の方が友禅染を進化させ多様化している様に見えます。

友禅流しは友禅染に描かれた余分な染料や糊を洗い流す為にする工程ですが、水質汚染の法律があり限られた河川でしか友禅流しが出来ないのが現実です。

多くの友禅染は、工場内で洗い流されているのです。

人間が自然と共存してゆく事が求められている現代ですが、日本の伝統的な技術と風情を守る為には、世界的な環境破壊を食い止めなければ、、、やはりそこに行き付くのです。

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投稿者:

伊集院 隼人

広い視野で世界をみつめ、独自の世界観で考察していく、ちょっと変わったお部屋、、、

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